残業代の請求権2年分→5年分に?

ご存知の方も多いと思いますが民法が2020年に改正されます。

現在、未払い賃金の時効は労働基準法で2年と定められています。
これは、労働者の賃金請求権の時効を1年と定めている民法の短期消滅時効の規定を、労働者保護の観点から修正するための特則です。

ところが、2020年4月1日に施行予定の民法改正により、消滅時効の期間は債権者が権利を行使できることを知った時から5年、権利を行使することができる時から10年とされ、短期消滅事項の規定は削除されることになりました。
労働基準法を改正して、改正民法の原則どおり賃金請求権の時効も5年にすべきではないかという議論もなされています。

従業員に残業代を適切に支払っていない企業にとっては大きな影響があると予想されます。
分かった上で残業代を支払っていない会社もありますが、就業規則の不備等により知らない間に残業代の支払い不足になっている会社もあります。

まずは勤怠管理の方法を見直し、適切な手段の導入を検討することです。
次に雇用契約書や就業規則を見直すことです。

未払残業代を請求された時、会社は「残業代込みで給与を支払っていた」、「残業は禁止しており、労働者が勝手に残業していた」といった反論がされることがしばしばあります。
しかし、このような主張は、雇用契約書や就業規則に明記された上で適切に運用されていなければ認められません。
特に、実際の残業の有無にかかわらず毎月決まった金額を支払う固定残業代制は、適法とされるためにいくつかの要件がありますので専門家の意見を聞く必要があるでしょう。