インターネットの私的利用を理由に解雇できるのか

インターネットの普及

昨今コンピュータとインターネットが普及し、一人一台インターネットに接続できるコンピュータが当たり前という職場が多数を占めてきました。それに伴いウェブサイトの閲覧や電子メールの利用は業務に欠かせなくなっています。

社員が机に向かってウェブサイトを閲覧しているとき、それが業務か私的の閲覧かは中々分かりません。ひどい場合、会社の電子メールアドレスを使って出会い系サイトに投稿していたり、会社のコンピュータを使って掲示板に誹謗中傷の書き込みをしていることもあります。

インターネットの私的利用に対する懲戒処分

インターネットの私的利用と懲戒処分ですが、原則として社員は労働時間中、職務に専念し他の私的活動を差し控えなければならないという「職務専念義務」を負っています。社員によるインターネットの私的利用は「職務専念義務」に違反することになり、就業規則に定めていれば懲戒処分の対象となり得ます。

ただしどのような処分が許されるかは、社員の行為がどの程度悪質かによることになり一概には言えません。最も重い処分である懲戒解雇が認められるのは、悪質性が相当高いケースに限られます。解雇をする場合は「客観的に合理的な理由があり」「社会通念上相当である」ことが必要なのはご存知の通りです。過去の裁判で、一カ月三通程度の私的メールでは解雇事由に当たらないと判断されたこともあります。

会社の対策方法

まず当然ながら就業規則にインターネットの私的利用を懲戒処分できるような類型を規定することが必要です。ただし一般的な就業規則の定めだけでは不十分になる可能性がある為、コンピュータやインターネットの利用に関する「社内規程」も定めた方がよろしいでしょう。

併せて物品の私的利用禁止の具体的な適用範囲を明確にしておきます。又、社内規程を定めた場合、それを従業員に周知して、しっかりと遵守するように日頃から指導等を行っておく必要があります。