厚生労働省が、全ての人が受け取る基礎年金(国民年金)を底上げする案を出していることが判明しました。
その財源は、なんと会社員が加入する厚生年金の積立金を基礎年金に回すというものです。
年金制度は20歳以上60歳未満の全ての人が加入する基礎年金(国民年金)が基本です。
会社に勤務する人は、厚生年金に加入することで、国民年金+αの年金が将来もらえる仕組みになっています。
2つの年金は現役世代が減っても制度が保てるように、賃金や物価の変動をもとに支給額が毎年改定されています。
現在、基礎年金と厚生年金の財源は別々に管理されていますが、厚生年金の財源は安定している一方で、国民年金の財源はひっ迫しています。。
厚生年金は女性の社会進出により、働く女性が増えていること等から財政は安定しているため、マクロ経済スライドで年金を減額する期間が2026年度に終了する予定です。
国民年金は、保険料未納者が多いことや、デフレ下で計画どおりに減額が進まない期間があったため、年金の減額は2057年度まで長引く見通しです。30年以上も先となると、この先どうなるか全く分かりません。
国民年金の状況を鑑みて、厚生年金の財源を国民年金に回すことで、国民年金の減額期間を縮めて給付水準を底上げする案が浮上しているようです。
今回の案では2036年度以降の国民年金の給付水準が、現在の見通しより3割ほど改善する見通しになります。
国民年金しか支払いのしていない自営業者や、比較的低収入の会社員(厚生年金の2階部分が少ない人)などが受け取る年金の水準低下を防ぐことができ、特に恩恵を受けることができます。
会社員などの厚生年金を受け取る人の大半も基礎年金部分の受給額が増えることになるので、損をする人はあまりいないように考えられます。
一方で、厚生年金の財源を国民年金に使用することに反対している人が、やはり一定数いるようです。
「厚生年金の財源は厚生年金受給者に還元するべき」という声も確かにその通りかと思います。