「年収の壁」という言葉は、一般的に、一定の年収を超えると税金や社会保険料の負担が増加し、手取り収入が思ったほど増えない状況を指します。
具体的には、年収が103万円を超えると、所得税が発生します(住民税の発生する年収は約100万円と言われています ※市区町村によって基準が若干違います)
また、年収が130万円を超えると、健康保険の被扶養者になることができないため、自身で健康保険の加入義務が生じ、手取りが減少します(ただし年収106万円以上の方で、従業員51人以上の会社に勤務し、一定の要件を満たした場合は健康保険に加入義務があります)
特に大きいのが、年収が130万円を超えると、「国民年金第3号被保険者」に該当しなくなるため、自身で年金の加入義務が生じ、手取りが減少します(ただし年収106万円以上の方で、従業員51人以上の会社に勤務し、一定の要件を満たした場合は厚生年金保険に加入義務があります)
この「年収の壁」を踏まえて、手取り収入を減らさないように就業時間を調整するなど、働き控えする方は少なくありません。
こうした働き控えは、パートやアルバイトで働く方達の所得向上を阻むだけでなく、企業の人手不足を加速する原因の一つとなっています。
2024年の衆院選で躍進した国民民主党が看板政策に掲げる「年収の壁」の103万円から178万円への引き上げについては、上記の内の「税の非課税枠の拡大」にあたります。
最低賃金が年々上がっている中、所得税の非課税枠がいつまでも103万円までというのは確かに合理性に欠けます。
先述した通り、年収の壁が働き控えによる企業の人手不足を加速する原因の一つとなっているのは間違いありません。
一方で、税の年収の壁だけでなく、「社会保険」の年収の壁の拡大も検討をしないと、思った以上に、働き控えは解消されないと思われます。
今後、この「年収の壁」がいくらに設定されるかは引き続き注視が必要です。