2025年4月1から育児休業給付金の延長手続きが厳格化されます。
一定の要件を満たした場合、雇用保険の育児休業給付金について支給が延長されることになっていますが、(育児休業給付金受給のためだけに)保育所への入所意思が無いのに入所申し込みを行う者が一定数いることが以前から問題視されていました。
①手続き変更の背景
育児休業給付金延長時の育児休業給付金の手続きの変更に関して、各自治体から「保育所等への入所意思がなく、給付延長のために申し込みを行う者への対応に時間が割かれる」、「意に反して保育所等への入所が内定となった方の苦情対応に時間を要している」として、見直しの要望があったという背景があります。
これらの声を受けて、「令和5年の地方からの提案等に関する対応方針」(2023年12月22日閣議決定)において、ハローワークで延長可否を判断することを明確化する方向で検討が行われました。また検討の結果に基づいて必要な措置を講ずるとされていました。
その結果、雇用保険法施行規則を改正し、手続きの見直しが行われることになりました。
②2025年4月以降の手続き
2025年4月以降の延長時には、市区町村の発行する「入所保留通知書」等の確認に加え、保育所等の利用申し込みが、速やかな職場復帰のために行われたものであると認められる必要があります。
具体的には、次の書類を延長時の「育児休業給付金支給申請書」に必ず添付する必要があります。
育児休業給付金支給対象期間延長事由認定申告書
市区町村に保育所等の利用申し込みを行ったときの申込書の写し
市区町村が発行する保育所等の利用ができない旨の通知書
育児休業給付金支給対象期間延長事由認定申告書については、厚生労働省のホームページで様式が公開されています。様式には保育所等の申込みの状況を記載することになりますので事前に確認しておいた方が良いかと思います。
また変更となる手続きの対象者は、育児休業給付金の延長を希望し、子が1歳に達する日または1歳6ヶ月に達する日が2025年4月1日以後となる従業員です。
今回の改定に伴い、育児休業中の従業員に対して育児休業延長の要件が厳格化されていることを早めに周知する必要があります。
育児休業給付金申請の手続き自体は会社で行いますが添付書類を揃えるのは従業員です。会社からの周知が乏しいと、従業員側が正しく要件を理解せず延長要件を満たすことができず、結果的に育児休業給付金の延長が認められない可能性があります。
社会保険労務士は育児休業給付金の申請代行もしていますので、上手に活用することで、育児休業給付金もスムーズな受給が可能になります。
参照:厚生労働省「2025年4月から保育所等に入れなかったことを理由とする育児休業給付金の支給対象期間延長手続きが変わります」