日本の年金制度は、高齢者や障害者に対して生活の安定を提供するための社会保障制度です。
日本の年金制度は、主に以下の3つの柱から成り立っています。
①国民年金(基礎年金)
すべての国民が加入することが義務付けられている年金制度で、主に自営業者や学生、無職の人々が対象です。一定の保険料を支払うことで、老後に年金を受け取ることができます。
②厚生年金
主に会社員や公務員が加入する年金制度で、国民年金に上乗せされる形で支給されます。給与に応じた保険料を支払い、老後に受け取る年金額も給与に連動します。
③企業年金・個人年金: 企業が独自に設ける年金制度や、個人が加入する年金保険など、国民年金や厚生年金に加えて、さらに老後の生活資金を補完するための制度です。
日本の年金制度は、持続可能性が問題視されています。
出生率の低下と平均寿命の延びにより、高齢者の割合が増加しています。
これにより年金を支える現役世代が減少し、年金受給者が増加するためです。
近い将来、年金の支給額や受給開始年齢の見直しの検討がされる可能性があります。
日本社会の抱える大きな問題点
①このままだと2050年には日本の人口が1億人を割ると言われており、現役世代が大幅に減る。
②平均寿命が更に延びることで年金受給者が増える。
考えられる改善策
①若者世代が安心して子供を産める環境を作り、少子化を止め子供を増やす。
②現役世代を増やすため、女性や高齢者の働ける社会作りをする。
③単身高齢者、低年金者、無年金者の増大に対して、最低保障機能を有し、高齢者の防貧・救貧機能を強化する。
実際に厚生労働省が検討している案
①厚生年金の対象拡大
「一定の条件に該当する短時間労働者」について従業員101人以上の企業が対象となっているが、
2024年10月からは51人以上の企業に拡大されます。今後これがさらに拡大される予定です。
②基礎年金の納付期間40年→45年
長く納めれば年金額は増えますが、年金を納めても(受給開始前に亡くなる可能性が上がる為)年金を受け取れなくなる可能性が上がります。
③基礎年金の給付抑制を早期停止
基礎年金の給付額が「マクロ経済スライド」と呼ばれる仕組みによって抑制される期間が厚生年金よりも長くなっており、この期間を短縮し、年金額がどれくらい増えるかを検証しています。
④在職老齢年金の見直し
賃金と厚生年金の合計が月50万円(2024年9月現在)を超えると年金が減額となるため、高齢者の就業促進に向けて制度の緩和を検証しています。
⑤保険料の基準額の上限を上げる
現在、厚生年金保険の標準報酬月額は65万円が上限ですが、この上限額の引き上げを検討しています。
いずれの対策も会社や労働者の負担が増える為、慎重な検討が求められます。