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管理監督者と名ばかり管理職

管理監督者 名ばかり管理職

2008年(平成20年)日本マクドナルドが直営店の店長を管理職とみなし、残業代を支払わないのは違法だとして、店長がマクドナルドを訴えました。

東京地裁は「店長の職務内容から管理職とはいえない」として同社に約755万円の支払いを命じる判決を下しました。

この裁判は、就業規則において店長以上の職位の従業員を労基法41条2号の管理監督者として扱っているマクドナルドの直営店の店長が、会社に対して過去2年分の割増賃金の支払い等を求めた事案です。

判決にあたり、東京地裁は、労基法の労働時間は最低基準を定めたもので、これを超えて労働させる場合は、所定の割増賃金を支払うべきことは全ての労働者に共通する基本原則であることを示しました。

そして管理監督者とは、企業経営上の必要から、経営者と一体的な立場で労働条件の枠を超えて事業活動することもやむを得ないような重要な職務と権限を付与され、また、賃金等の待遇においても優遇措置が取られている者のことをいうとしました。

その上で、本件店長は、アルバイトの採用や育成、勤務シフトの決定等の権限を有し、店舗運営について重要な職責を負ってはいるが、その権限は店舗内の事項に限られ、企業経営上の必要から経営者と一体的な立場での重要な職務と権限を付与されているとはいいがたく、賃金実態も管理監督者の待遇として十分とはいい難いとして、管理監督者に当たるとは認められないと判示した。

10年以上前の平成時代の判決ですが、同じようなチェーン店は数多くある為、多大な影響があったかと思います。

この判決は、名ばかり管理職として当時大きなニュースになりました。
 

さて令和の現在、管理監督者が適法に運用されているかというと大いに疑問があります。
多くの企業で管理監督者制度が採用されていますが、上記の判決を鑑みると、実際に管理監督者に該当している労働者は少ないのではないかと思います。

つまり現在も「名ばかり管理職」は多くの企業で存在しているのです。

 

尚、管理監督者を認めた判例もあります。
東京高判平成20年11月11労判1000号10頁[ことぶき事件]
東京地判平成19年3月22日労判938号[センチュリーオート事件]
大阪地判昭和62年3月31日労判497号65頁[徳洲会事件]
福岡地判平成19年4月26日労判948号41頁[姫浜タクシー事件]
大阪地判平成20年2月8日労経速1998号3頁[日本ファースト証券事件]
京都地判平成24年4月17日労判1058号69頁[セントラルスポーツ事件]
東京地判平成24年5月16日労判1057号96頁[ピュアルネッサンス事件]

いずれも
①経営者と一体的な立場での重要な職務と権限を付与されており、
②労働時間を自らの責任により自由裁量で決することができ、
③賃金実態も管理監督者の待遇として十分であると認定されています。


企業としては、むやみに管理監督者を選ばず、適切な残業代を支払うことが求められます。


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