ビジネス誌を見ると社会保険労務士など士業の仕事が年々減っていくことが予想されています。
一方で士業の人数は年々増えています。多くの士業で入会者の数が退会者の数より多い為です。
AIの発展により、士業の大きな業務である「書類作成代行業務」はAIに奪われていく可能性が高いと言われています。これは社労士、行政書士、司法書士、税理士等多くの士業に当てはまります。
人数が増えているのに仕事が減っていくということは競争が年々激しくなるということです。
独占業務である「書類作成代行業務」が減っていくため、社労士を筆頭に士業には厳しい未来が予測されますが、一方で社労士の需要が増える可能性としては下記が考えられます。
①労働環境の変化
働き方改革やテレワークの普及(コロナの時に加速度的に普及しました)、フリーランスや非正規雇用者の増加など、労働環境が変化しているため、労務管理や社会保険に関する専門知識がますます重要になっていきます。多くの中小企業の経営者は労働法令に詳しくありません。
知らない間に法令違反になることは好ましくないため、労働環境の変化により社会保険労務士の需要が高まると考えられます。
②労働法令や社会保険制度の改正
労働法令や社会保険制度は定期的に改正されるため、企業は常に最新の情報を把握し、適切に対応する必要があります。
雇用保険や社会保険の加入要件、残業の上限規制や、高年齢者の在職老齢年金など多くの改正がこれらからも予想されます。労働法令や社会保険制度は毎年何かしらの改正があります。
社会保険労務士は人事労務の専門家として、企業に対するアドバイスやサポートをする役割が求められるため需要が高まると考えられます。
③企業のコンプライアンス意識の高まり
労働法令の遵守が企業にとって重要な課題となっており、コンプライアンスを強化するために専門家の助言が必要とされています。
昨今はハラスメントに対して企業に厳しい対応が求められています。
また例えば従業員にしっかりとした教育をしておかないと、SNSで自社のマイナスの情報を拡散して会社の評価を落としてしまうことも決して珍しくありません。
社会保険労務士は、企業や企業に勤める従業員が法令を遵守するための支援を行うことが期待されています。
④高齢化社会への対応
高齢化が進む中で、年金や介護保険などの社会保険制度に関するニーズが高まっています。
社会保険労務士は、これらの制度に関する知識を持ち、個人や企業に対して適切なアドバイスを行うことが求められます。
⑤デジタル化の進展
労務管理や社会保険手続きのデジタル化が進む中で、ITスキルを持つ社会保険労務士の需要も増加しています。ひと昔前のように紙でのやり取りが少なくなり、デジタルツールを活用した効率的な業務運営が求められるようになっているため、これらに対応できる専門家が重宝されます。
社労士に限らず士業全般に言えることですが、専門的な知識だけでなく、時代に合ったニーズに適応できる能力が求められます。